あほばら―成城だより

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zoom RSS あるクリスマスの思い出

<<   作成日時 : 2011/12/24 21:36   >>

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今から20年余り前のこと、私は、アメリカで最も住民の世帯収入が高いといわれるカリフォルニア州のランチョ・サンタフェというところを訪れた。同行者は、得意先の社長とこの街への案内人であり、親友の栃久保寿治氏だ。私たちはたしかロサンゼルスから胴体の細い国内線の飛行機に搭乗して、カリフォルニアのサンディェゴ空港に降り立った。空港にはすでに私たちが訪問しようとしている家の主人、ミスターゴールデンが黒いリムジンを特別に仕立てて出迎えてくれた。みんなと握手するときのゴールデンさんの顔は満面の笑みで、その笑顔は滞在中に一度も崩れることがなかった。すでに多少のアルコールがまわっているようで、私たちにも好きなものを飲むように勧めてくれた。なんとリムジンのドアの内側は冷蔵庫になっていて、氷やウォッカ、ブランデーなどがたくさん積み込まれていた。ゴールデンさんは、私たちの滞在中いつもウォッカを飲んでおり、私たちにも常に「ウォッカ、ウォッカ!」といって勧めていた。

 車はやがて誰も住んでいないような山道に入り、どんどん上に登って行った。家は遠くの方にしか見えない。そしてついにゴールデンさん宅に到着。扉にはサンタクロースのお面が掛けてあり、髭の下から紐が下がっていて、チャイム用に見えたので私が紐を下に引くと、サンタクロースの口が開いて水が飛び出し、サンタクロースは「あっはっはっはは」と笑ったのである。

 ゴールデンさんの家についての驚きはこれが序の口で、なんと三階分もあろうかと思われる高さの吹き抜けのある大広間には、大きな本物のもみの木でできたクリスマスツリーが立てられていた。クリスマスには、ゴールデンさんの14人のすでに成人した子どもたちがアメリカの各地から集まるとのことだ。ゴールデンさんにどうしてそんなに子供がいるかというと、これまで3回結婚してそれぞれに子どもさんがいるからとのことだ。

 ゴールデンさんの家の中には至るところに仕掛けがしてあり、いろいろなものが飛び出してくる。また、客室がたくさんあって、それぞれにバスルームがついており、驚いたのは台所の広さで、40畳位あったであろうか。その横には食材を保存するストックルームがあり、日本の調味料や福神漬等、ほとんどのものが山盛り備蓄されていた。台所の中心にある大きなテーブルの上には日本製の電気釜でいつもご飯が保温状態にされており、その傍には調理済みのウインナーソーセージと切った、たくあんが置いてある。地下の娯楽室には自動ピアノやゲーム機が置いてあり、夜通しそこで遊ぶことができる。ガレージは大きな車が何台も置ける広さであり、広い敷地の一方は牧場、他方はオレンジ畑で、のびのび広々とした中で私は日向ぼっこをすることができた。夕食は近隣の町から日本人の寿司職人を呼び、大広間の大きなテーブルの上に山盛りのごちそうを作って訪問客4名とゴールデンさん夫妻との小さなパーティーを開くこととなった。

 その日、ゴールデンさんの家で私たちと合流した一人の日本人がいて、彼は、案内人であり、私の友人である栃久保さんの叔父さんであった。その叔父さんは昔、福島県双葉郡からアメリカに移民として渡り、ガーディナー(庭師)として働いていたのだ。ゴールデンさんの家の庭は、その叔父さんの仕事場のひとつで、中学生のときに福島県双葉郡大熊村からアメリカに留学した私の友人の栃久保さんはその叔父さんのところに一時滞在しており、叔父さんと一緒にゴールデンさんのところの仕事を手伝いに来ていたため、ゴールデンさんは少年の頃から栃久保さんを知っていたのだ。その日の叔父さんのゴールデンさんへのおみやげはなんと日本のたくあん一本であった。

 20年以上も前のクリスマスの季節にランチョ・サンタフェに滞在した楽しい記憶は今も消えないが、栃久保さんたちの故郷である福島県双葉郡大熊村(現・大熊町)は、福島原発の事故のために、しばらくはもう誰も住めないところになってしまっている。


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